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小動物医療の指針 医療者の責務 獣医師の誓い95年宣言


 1   序文            ・・・・・ 当ページについて ・・・・・・・・
 
日本獣医師会
日本獣医師会HPは右アイコンから
 
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現在のようなペット社会において、獣医療の果たすべき役割は大きく、しかもいっそう重要になりつつあります。同時に飼い主が期待する獣医療への要求も高まりつつあります。このような社会情勢の変化により、獣医師の責任と義務は厳しく問われるようになっています。
 
獣医療が目指すべき道は、日本獣医師会でとりまとめた倫理規範「獣医師の誓い」「小動物医療の指針」に端的に記されています。その理念を念頭におきながら当ページをご覧いただければ幸いです。
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日本獣医師会  
【獣医師の誓い95年宣言】(一部抜粋)  (リンクはキューピッド右アイコンから)
「獣医師は、また、人々がうるおいのある豊かな生活を楽しむことができるよう、広範多岐にわたる専門領域において、社会の要請に積極的に応えていく必要がある。
獣医師は、このような重大な社会的使命を果たすことを誇りとし、自らの生活をも心豊かにすることができるよう、高い見識と厳正な態度で職務を遂行しなければならない。」
 
日本獣医師会
【小動物医療の指針】 (一部抜粋)     (リンクはキューピッド左アイコンから)
〔1.小動物医療の目的および基本理念〕
「小動物医療は,動物の健康だけでなく,人の健康,公衆衛生にも密接にかかわる社会的,公共的な性格を有するものであることを認識すべきである.
小動物医療に従事する獣医師(以下,単に「獣医師」という.)は,自己の業務に誇りを持つとともに,動物を慈しみ,飼育者の気持ちにも配慮して小動物医療を提供するよう努めなければならない.」
〔おわりに〕
「獣医師は、常に最新の専門知識、技術を具有するよう自己研錯に努めることは当然であるが、獣医師の職業倫理として定めたこの指針に照らし、また良識ある社会人として、「常に己を厳しく律することができる者こそ、真のプロフェッショナルである」ということを肝に銘じ、その与えられた使命を存分に果たさなければならない。」
 
(出典:日本獣医師会HP) (http://nichiju.lin.go.jp/)
 
注釈:
(緑色文字→資料抜粋)
赤紫色文字→抜粋資料の強調箇所
(黒色文字→判決本文および管理人記述)
 
 

 2   医療過誤、医療ミスの定義                        (人、動物)
 
フリー百科事典サイト
フリー百科事典は右アイコンから
 
医療事故(いりょうじこ)とは、医療の過程全般の結果として患者が予期しない不利益を被ることである。誤診や誤った処置、投薬、機器トラブル等が原因となる。
医療過誤(いりょうかご)、医療ミスとは、医療事故の原因となった人的なエラーである。
 
ここで注意を要する点は、誤診や、予期しない容態の変化・死亡も、その原因が人的エラーである場合以外には、それを医療過誤・医療事故とは呼ばないということである。
 
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
 

 3   医療過誤への責任−T 民事責任                   (人、動物)
 
民法 (法庫より)
民法全文は右のアイコンから
 
民事責任には、(1)不法行為責任(民法709条)または(2)債務不履行責任(民法415条)があり、損害賠償が発生します。
その賠償は金銭によるものと定められます(民法417条)。
また賠償では、財産を侵害された場合でも慰謝料請求が認められるとされています(民法710条)。
 
民法第709条 故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
民法第710条 他人ノ身体、自由又ハ名誉ヲ害シタル場合ト財産権ヲ害シタル場合トヲ問ハス前条ノ規定ニ依リテ損害賠償ノ責ニ任スル者ハ財産以外ノ損害ニ対シテモ其賠償ヲ為スコトヲ要ス
民法第415条 債務者カ其債務ノ本旨ニ従ヒタル履行ヲ為ササルトキハ債権者ハ其損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得 債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキ亦同シ
民法第417条 損害賠償ハ別段ノ意思表示ナキトキハ金銭ヲ以テ其額ヲ定ム
 
民事責任に関連して以下の@Aの用件が関係します。
 
@ 過失(注意義務違反)がある
 
過失には、「結果予見義務違反」または「結果回避義務違反」があります。
 
ただし、問われるのはあくまでも過失責任であり結果責任ではありません。
すなわち、治療によって動物が死亡した事実が問われるのではなく、治療上過失があると認定された場合に責任が問われます。
 
A 損害が発生している
 
損害は、財産的損害(逸失利益)精神的損害(慰謝料)があります。
 
以上の@過失A損害の間に因果関係が成立する場合に民事責任が問われます。
 

 4   医療過誤への責任− U 行政責任                   (動物)
 
獣医師法
獣医師法全文は右アイコンから
行政上の責任は獣医師法(第8条2項)に規定されています。
(一部抜粋)
 
(免許の取得し及び業務の停止)
第8条 
 獣医師が次の各号の一に該当するときは、農林水産大臣は、獣医事審議合の意見を聴いて、その免許を取り消し、又は期間を定めて、その業務の停止を命ずることができる。
1.第19条 第1項の規定に違反して診療を拒んだとき。
2.第22条の規定による届出をしなかつたとき。
3.前2号の場合のほか、第5条第1項第1号から第4号までの一に該当するとき。
4.獣医師としての品位を損ずるような行為をしたとき。
 
(免許を与えない場合)
第5条
1.心身の障害により獣医師の業務を適正に行うことができない者として農林水産省令で定めるもの
2.麻薬、大麻又はあへんの中毒者
3.罰金以上の刑に処せられた者
4.前号に該当する者を除くほか、獣医師道に対する重大な背反行為若しくは獣医事に関する不正の行為があつた者又は著しく徳性を欠くことが明らかな者
5.第8条第2項第4号に該当して免許を取り消された者
 
罰則
第28条 第8条第2項の規定による業務の停止の命令に違反した者は、1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 
また獣医道審議会の役割は以下のように記載されています。
第8条
 前項の規定により意見を聴かれたときは、獣医事審議会は、当該獣医師に、当該処分の原因となる事実を文書をもつて通知し、意見の聴取を行わなければならない。
 

 5   医療者に求められる注意義務違反                   (人判例) (S36.02.16最高裁判所)
 
最高裁判所判例集判決全文
この裁判判例は右アイコンから
(人医療裁判)
最 高 裁 判 所 判 例 集 判 決
判例 S36.02.16 第一小法廷・判決 昭和31(オ)1065 損害賠償請求
判示事項:第一小法廷
給血者に対する梅毒感染の危険の有無の問診の懈怠と輸血による梅毒感染についての医師の過失責任。
 
要旨:
「給血者がいわゆる職業的給血者で、血清反応陰性の検査証明書を持参し、健康診断および血液検査を経たことを証する血液斡旋所の会員証を所持していた場合でも、同人が、医師から問われないためその後梅毒感染の危険のあつたことを言わなかつたに過ぎないような場合、医師が、単に「身体は丈夫か」と尋ねただけで、梅毒感染の危険の有無を推知するに足る問診をせずに同人から採血して患者に輸血し、その患者に給血者の罹患していた梅毒を感染させるに至つたときは、同医師は右患者の梅毒感染につき過失の責を免れない。」
 「所論はまた、仮に担当医師に問診の義務があるとしても、原判旨のような問診は、医師に過度の注意義務を課するものである旨主張するが、いやしくも人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照し、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのは、已むを得ないところといわざるを得ない。
 然るに本件の場合は、A医師が、医師として必要な問診をしたに拘らず、なおかつ結果の発生を予見し得なかつたというのではなく、相当の問診をすれば結果の発生を予見し得たであろうと推測されるのに、敢てそれをなさず、ただ単に「からだは丈夫か」と尋ねただけで直ちに輸血を行ない、以つて本件の如き事態をひき起すに至つたというのであるから、原判決が医師としての業務に照し、注意義務違背による過失の責ありとしたのは相当であり、所論違法のかどありとは認められない。」
 
医療には必然的に危険が伴うため、医療者が担う注意義務は重大になります。
 

 6   注意義務違反の基準                           (人判例)  (H7.06.09最高裁判所
 
最高裁判所判例集判決全文
この裁判判例は右アイコンから
(人医療裁判)
最 高 裁 判 所 判 例 集 判 決 (一部抜粋)
判例 H07.06.09 第二小法廷・判決 平成4(オ)200 損害賠償請求
 
判示事項:
一 診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準
 
二 昭和四九年一二月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につきその診療に当たった医療機関に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例
 
要旨:
一 「新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情がない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準であるというべきである。」
 
病院の性格に応じて医療水準を一律に解すべきではないとされています。
 
また、「いやしくも人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照し、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのは、巳むを得ないところといわざるを得ない」としたが(前掲昭和三六年二月一六日第一小法廷判決)、具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問擬せられることとなる担当医師の注意義務の基準となるべきものは、診療当時の医学の最高水準を行く知見であるとすることはできず、一般的には、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である、とされる(前掲昭和五七年三月三〇日第三小法廷判決、昭和六三年一月一九日第三小法廷判決)。」
 
この医療水準論はすべての医師に適用されます。経験豊富な専門医であっても、卒後間もない新人研修医であっても同じ医療水準で判断されます。患者の立場から見ると妥当な考え方だと思います。

 7   医療慣行であっても医療水準に達しなければ過失が問われる   (人判例) (H8.01.23最高裁判所)
 
高等裁判所判例集判決全文
この裁判判例は右アイコンから
(人医療裁判)
最 高 裁 判 所 判 例 集 判 決 (一部抜粋)
判例 H08.01.23 第三小法廷・判決 平成4(オ)251 損害賠償
 
判示事項:
  医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務
 
要旨:
  医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。
 
「この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものであるが(最高裁平成四年(オ)第二〇〇号同七年六月九日第二小法廷判決・民集四九巻六号一四九九頁参照)医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。
「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文章に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである。」
 
「すなわち、昭和四九年当時であっても、本件麻酔剤を使用する医師は、一般にその能書に記載された二分間隔での血圧測定を実施する注意義務があったというべきであり、仮に当時の一般開業医がこれに記載された注意事項を守らず、血圧の測定は五分間隔で行うのを常識とし、そのように実践していたとしても、それは平均的医師が現に行っていた当時の医療慣行であるというにすぎず、これに従った医療行為を行ったというだけでは、医療機関に要求される医療水準に基づいた注意義務を尽くしたものということはできない。
 
「ここで特に指摘を要するのは、「いわゆる臨床医学の実践における医療水準」とはいえ、それはあくまで診療に従事する医師の拠るべき規範であって、必ずしもこれに忠実とはいえない者をも含む「平均的医師が現に行っている医療慣行とでもいうべきものとは異なる」(前掲昭和六三年第三小法廷判決における伊藤裁判官の補足意見参照)ことである。「注意義務の存否は、もともと法的判断によって決定さるべき事項であって……慣行……の故に直ちに注意義務が否定さるべきいわれはない」(前掲昭和三六年第一小法廷判決参照)のである。」
 
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上記裁判で争点となった「医療水準論」は治療上妥当な概念だと思います。小動物医療における医療水準については以下に記載されています。
 
小動物医療の指針(日本獣医師会)(一部抜粋)
4診療技術水準の確保
獣医師は、社会の要請に応えることができるように、最新の専門知識、技術を習得し、常に高い診療技術水準を維持するように生涯学習に努めなければならない。
このためには、獣医師は、学術集会、研修会等に積極的に参加し、また、学術雑誌、書籍等を通じて専門知識を吸収するとともに、自ら得た成果を他の獣医師にも伝達する等により、小動物医療全体の発展に努めなければならない。
 


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医療者の責務
 
注:本ページ内容はあくまでも個人的見解です。
 
ページ作成開始日:  2005/04/09 
 
 

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