飼い主を甘く見ると痛い目にあう
飼い主は治療の質を判断する時、「治療結果」と「獣医師の説明」を基準にして考えます。
この2つが満たされると、飼い主は治療に満足し、獣医師を信頼します。
しかし、病気によっては良い治療結果が得られないこともあります。
当然飼い主は不満を持ちますが、だからといって直ちに獣医師を信用しなくなったり、転院や治療の中止を求めたりするわけではありません。
治療成果が不良の時は、飼い主は獣医師の説明を聞いて判断することになります。
納得できる説明かどうか? 病態を正しく把握できているかどうか? どんな方針を立てているのか?
もし病状説明が不十分であれば、飼い主は獣医師の技量を疑い、徐々に気持ちが離れていきます。そして最終的に治療を拒否し受診を中断します。
治療の途中で受診しなくなる飼い主がいますが、その中には、担当獣医師の腕を見限った場合も含まれています。
獣医師は、飼い主が勝手に来なくなった、と非難する前に、治療に不信をもたれていなかったかどうかも考慮する必要があります。
医療者の説明が重要な意味を持つことは、人医療に関するアンケート結果でも明確に示されています。患者も飼い主も、医療者の技能を見極めてから治療を依頼する考え方は共通であり、獣医療でも大変参考になります。以下にそのアンケート内容を紹介します。
対象 患者さん 1000人
(医療雑誌より引用2006年)
● 医師の技術の判断基準(複数回答)
1.実際に治療を受けた時の説明内容など、医療スタッフの言動 65.6%
2.親戚・知人などからの口コミ 42.6%
3.その医療機関で実際に治療を受けた人からの情報 30.1%
4.医療関係者の知人からの情報 16.6%
5.その医療機関が提供・開示している診療内容や治療成績などの情報 15.6%
6.インターネット上の情報(掲示板など) 13.6%
7.他の医療機関からの情報(紹介やセカンドオピニオンを含む) 8.3%
8.テレビ・雑誌などのメディア情報 4.5%
9. その他 2.3%
10.判断のしようがない 15.4%
● 医師に求める条件 (複数回答)
1.説明が丁寧でわかりやすい 80.7%
2.患者の話に真剣に耳を傾けてくれる 78.8%
3.医療知識が豊富で診断技術が高い 64.5%
4.丁寧で思いやりのある言動 59.7%
5.診療に十分な時間をかけてくれる 50.4%
6.カルテなどの診療情報を包み隠さず開示してくれる 46.2%
7.患者の理解を助ける資料などを随時渡してくれる 38.9%
8.医師としての経験の長さ 34.9%
9.治療費のことを考え、検査回数や投薬量を最小限に抑えてくれる 30.5%
10.治療費のことを考え、後発医薬品を中心に処方してくれる 27.4%
11.専門医の資格 23.1%
12.十分な検査や投薬を行ってくれる 19.0%
13.多少厳しくても威厳の感じられる言動 10.5%
14.出身大学・過去の勤務歴 5.9%
15.先発医薬品を中心に処方してくれる 5.1%
16.その他 2.2%
上の結果から、患者は医師の説明を聞いてその医師の能力を判断していることがわかります。
ところで、治療を中断して中断または転院する患者は、どのような理由で転院するのでしょうか?
そのアンケート結果を示すます。
● 通院・入院先を変えた理由(複数回答)
1.治療結果に満足できなかった(医療レベルが低いと感じた) 17.9%
2.待ち時間が長かった 11.8%
3.治療法や診断に対する医療スタッフの説明がわかりにくく不十分だった 10.7%
4.医療スタッフの言動が横柄で思いやりに欠けていた 9.3%
5.通院に不便だった 6.7%
6.不要だと思われる検査・投薬が多かった 6.2%
7.患者のプライバシーへの配慮に欠けていた 3.7%
8.診療時間が短かった 3.3%
9.医療機器が充実していなかった 3.2%
10.頻繁な通院を求めてきた 2.9%
11.院内外が清潔感に欠け、設備類も不十分だった 2.6%
12.治療費が高かった 2.5%
13.治療費の内容が分からなかった 1.9%
14.診療情報の開示・提供に消極的だった 1.8%
15.医療事故や院内感染に対する安全管理に不安を感じた 0.7%
16.半強制的に転院を求められ、嫌気がさした 0.4%
7.その他 4.6%
18.不満が原因で通院・入院先を変えたことはない 62.4%
同様に、どのような理由で通院入院先を選んだのかについても参考になります。
● 通院・入院先を選んだ理由(複数回答)
1.通院に便利 69.5%
2.治療に関する医療スタッフの対応が丁寧でわかりやすい 30.9%
3.医療技術の高さ 30.3%
4.医療スタッフの対応が丁寧でマナーもしっかりしている 28.5%
5.医療機器が充実している 24.6%
6.待ち時間が短い 21.8%
7.不要と思われる検査・投薬が少ない 15.7%
8.内外装がきれいで快適 15.5%
9.診療情報などの提供・開示に積極的 11.3%
10.治療費が安い 9.4%
11.患者のプライバシーに十分な配慮がある 6.8%
12.医療事故や院内感染に対する安全管理がしっかりしている 5.7%
13 その他 12.4%
以上のアンケート結果からも分かるように、患者(同様に飼い主も)は、医療者の説明を重視しています。
さらに、医療者(スタッフ)の言動や丁寧な対応も望んでいます。
医療者の一方的な都合や解釈で治療を進めるやり方では通用しないことを認識してください。
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