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      麻酔は外科治療上不可欠で、安全かつ確実でなければなりません。
      麻酔薬と麻酔法は数多くあり、各治療者は指導を受けながら経験を積み、自分なりに慣れた麻酔を実践します。
      一方、麻酔学も日進月歩であり、より優れた薬剤やモニター機器が開発されています。各薬剤の効能や副作用を十分把握して実践する必要があります。
      現在の医療水準に満たない誤った麻酔による事故はあってはならないことです。
      しかし愛犬は麻酔で亡くなりました。
 
      愛犬にかけられた麻酔は適切であったのでしょうか?  
      麻酔方法や術中管理は妥当だったのでしょうか?
 
      醒めない麻酔は正しい麻酔とはいえません。問題点を検証する必要があります。
      麻酔ミスの原因を理解しないまま同様のミスを繰り返してはなりません。
 
 
初稿2005/05/31   麻酔ノウハウ改訂2006/02/22    
麻酔薬と麻酔法
              改訂版 (2006年2月)
 
当HPの手術報告書に関して、ある獣医師からご意見をいただきました。そして、具体的な麻酔の問題と、推奨される方法についてご指摘を受けました。
 以下、ご紹介します。  
(投稿獣医師の許可を得て転載)(薬剤についてはリンク集、医療知識に関するホームページを参照下さい。)
 
「手術内容の経過から、今21世紀にこんな麻酔をする者がまだいたということが信じられないし、驚かされています。」
 
「麻酔法と麻酔剤」について
(私の愛犬に行われた実施内容は赤色で併記する)
 
1.キシラジンは仔犬、仔猫ではまず使用しない。 (キシラジンは使用された)
 12週齢以下では、禁忌とさえ言われている。
 推奨投与量は、0.2r〜0.5r/s、筋肉内、静脈内、皮下投与であり、少ない投与量を推奨する。
 また、キシラジンは高頻度で不整脈を起こし、洞性徐脈、房室ブロック、洞房ブロック、T〜U度の心ブロック、房室解離、洞性不整脈などがあり、抗コリン薬の前投与をする場合もある。また、近年は抗コリン薬としてアトロピンではなく臭化グリコピロレート(ロビナール)を使用することが心拍数の増加を招かないので推奨されている。
 
2.ケタミンとの併用もやはり慎重に投与し、これは頭蓋内疾患などの場合は禁忌である。 (ケタミンは使用された)
血圧の亢進が著しく、よほど咬む犬で静脈が確保できない時のみ使用する(筋肉内注射)。 またハロセン自体も不整脈を誘発しやすいことと、2週間以内に繰り返し使った場合はとくに肝毒性が発現するため、人では2週間以内の再使用は禁忌となっており、使用しないのが実情である。
 現在はイソフルレンがガス麻酔では主流であり、また、セボフルレンが導入などで臭いがしないことなどから好まれる。また、心臓抑制が非常に低いので安全であると言われている(値段も安価)。
 また、異論もあるかもしれないが現在アメリカでは乳酸加リンゲルは使用しない。ショックなどでは乳酸アシドーシスを悪化させると言われており、酢酸加リンゲルが使用される。  (乳酸化リンゲルは使用された)
 
3.現在は、導入用の麻酔は、プロポフォールが主流であり鎮静はミダゾラムが主流である。  (ハロセンが使用された)
 鎮痛にはスタドールを使用し、またプロポフォールの値段が高いのでその用量を減らす目的でチアミラールとの混合を使用する。
これらが、一番安全な麻酔であり、また完全閉鎖式の麻酔器で二酸化炭素濃度を測定すると低流量麻酔が可能で、安全でかつ経済的である。
 また、最低でもSpO2をつけることは常識となっている。(装着されていなかった)
(アメリカではこれをつけずに麻酔をした場合絶対に訴訟では勝てないそうです。投稿者。) 
 
ショック対策について
 
1.ショックの治療は、ドブタミンを使用するのが一般的である。 (イソプロテレノールが使用された)
心不整脈の問題からも最良と言われている。近年、心筋の抑制が強い場合はもっと別のドブタミンにとって代わるものがある。
 αアドレナリン作用が心肺蘇生時の自己心拍再開に重要である。すなわち、α受容体を刺激すると血管が収縮し拡張期圧が上昇し、冠血流が増加する。
 イソプロテレノールには、αアドレナリン作用がなく、βアドレナリン作動薬としか働かないので心肺蘇生にはもはや使用しない。血圧低下作用と、強い不整脈惹起性がある。心不全の動物には使用してはならない。また、低血圧を起こすため心停止の場合には禁忌である。
 
 ドパミンは心拍が停止した時自己心拍を再開するときに使い、ドブタミンは心拍が再開して循環が不安定なときや停止しそうなときの循環が不安定なときに使用して循環動態を改善させる。
もし心停止がおきそうなら、またドブタミンがない場合、ドーパミンの投与もしくは高張食塩水の投与をすべきである。
また、重曹(炭酸水素ナトリウム)が心停止して10分も経過しているにもかかわらず投与がされておらず、代謝性アシドーシスに対応していない。ステロイドやグルコン酸カルシウムの投与前にすべきことである。
 
2.カルシウム製剤は現在使用しないようになっている。(グルコン酸カルシウムが使われた)
心停止後に心筋収縮を高くする目的で投与されているが、心停止後の脳障害へカルシウムが関与しているので現在は逆に回復後はカルシウム拮抗薬の投与をする。
 高カリウム血症、低カルシウム血症以外では現在は有害作用のほうが多いことが判明しているので投与しない。
 
3.麻酔ではないが、エンロフロキサシンを仔犬に投与していること自体が間違いである。(エンロフロキサシン、プレドニゾロンが使用された)
軟骨の発育を抑制するため、よほどのことがない限り仔犬では投与しない。
プレドニゾロンの投与目的が不明である。口腔内の外科では、基本的に抗生物質は必要な時以外投与しない。炎症予防であれば、より短時間のステロイド(ソルメドロール)や犬で認可されているリマディルなどを使用すれば良い。
 
「したがって今回、心停止が起こる前も起きた後の処置もめちゃくちゃであったということがお解りになると思います。 
以上からかんがみても、最低ランクの動物医療と言わざるを得ません。」
 
(以上、投稿獣医師談)。
 
 
 

 
また、投稿獣医師の御好意により、実際に病院で実践している麻酔マニュアル(麻酔法(避妊手術)のノウハウ)(麻酔の実際)を頂戴しました。私たち一般飼い主がその詳細を理解することは困難かもしれませんが、現在の麻酔方法や考え方を知る上で貴重な判断材料になると思います。参考のために紹介いたします。
 
以下、管理人の考えです。
医学情報をマニュアル化して文書に記し、広く公開することは重要です。
情報を共有することにより、各方面から医学的な意見交換が行われ、全体の質の向上につながります。
正しい知識や考え方は普遍的に通用します。
また、臨床ではたえず最適な治療を提供するために日々知識と技術を発展させています。臨床獣医師は麻酔をより安全に確実なものにするために努力しています。
 
【なお、改訂(2006年2月)に伴い、管理人補足をページ末に加えました。】
 
 
 
 
    【麻酔法(避妊手術)のノウハウ】 (改訂追記)
 
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注:〔鎮痛剤、麻酔剤用量および麻酔管理について改訂追加しました。(2006年2月)
 
(改正箇所は本編の後半に附記)  投稿獣医師の御厚意により許可を得て掲載。
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対象:猫、犬
 
原則:すべての麻酔時には、酸素の投与と点滴による血圧低下の抑制を図ること。
    急速投与はしないこと。
    最低でもSpO2(酸素飽和度)は測定すること。
 
T 鎮静剤     【成分名 (商品名) (分類)
 
メデトミジン(ドミトール)(α−2アドレナリン作動性鎮静・鎮痛剤)
     流涎、低血圧 → 低酸素、誤嚥性肺炎
     対策:観察を怠らない。
     抗コリン剤(アトロピン、グリコピロレートなど)との併用は慎重に。
     ケタミンとの併用時には、アンチセダンで完全に拮抗させてしまうと覚醒後の狂騒状態を招くことがある。
       
     ミダゾラム(後述)、ブトルファノール(後述)で狂騒状態の回避。
 
アチパメゾール(アンチセダン)
      
   ドミトールの過剰投与時は直ちに拮抗目的で投与。
   ケタミン(ケタラール)(解離性全身麻酔剤)使用時は、狂騒状態を引き起こすので注意して使用。(全量での拮抗ではなく、半量投与では鎮痛作用が持続するので狂騒状態を回避できる)
   α2拮抗薬であり、α2作動薬のドミトールなどを喘息猫に使用した場合、術後気管支炎の悪化による死亡報告あり。
   2日〜3日後に発生 ←確実な量で拮抗させることで問題を回避もしくは喘息猫ではα作動薬を控えたほうが良い。
   急速投与は避ける ←他のα拮抗薬であるヨヒンビンなどの急速投与で死亡例がある ←筋肉内投与する
マスクもしくは、気管内チュウブの使用で低酸素を防ぐ。 
 
キシラジン(セラクタール)(α-2アドレナリン作動性鎮静剤)
    作用はドミトールに類似するが作用は弱い。 
    約3回の嘔吐が猫では認められ、その後強い鎮静、鎮痛効果が認められる。
    体重によって用量を増量する場合は、肥満の猫は減量しなければ低血圧作用が強く発現する。
    心房性期外収縮の報告が以前からあるが心室性期外収縮も認められる。
    抗コリン剤で拮抗可能ではあるが、初期から投与していなければ徐脈を拮抗することができない場合が多い。
    ドブタミンが徐脈に対しては有効ではあるが、猫の場合過量投与ではドーパミン作用が発現し、水のみ鳥作用(首ふり)が発現する。
    頭蓋疾患の可能性がある場合は、脳循環へ有害な低血圧を回避し、輸液、酸素投与を考慮する。
    sPO2は最低測定する。(キシラジンに続いて麻酔をした場合、不整脈、心拍数の減少、そして死亡を起こす。したがって、低用量に、健康動物でとして、それ以外には使用しない)
 
ドキサプラム(ドプラム) ジモルホラミン(テラプチク) (呼吸中枢刺激剤)
    呼吸中枢刺激、麻酔覚醒に使用するが、投与後、心拍数の低下に注意する。
    肺水腫状態には使用不可。(閉塞性肺疾患においては、効果がない。)
    帝王切開時に仔犬の呼吸促進剤として常用されているが、脳が低酸素状態では効果が低下し呼吸していない場合は役に立たないであろう。また脳血流を低下させることがあるので有害であるとも思われる。
    喉頭麻痺の検査において、麻酔と併用すると呼吸状態の観察が容易になる。
 
ヨヒンビンは有用性に乏しいので現在は使用しない。
 
ミダゾラム(ドルミカム)(ベンゾジアゼピン系催眠鎮静導入剤。超短時間型)  
    静脈内投与可能なベンゾジアゼピン系鎮静剤。
    ジアゼパムと同等、猫では覚醒後 狂騒状態を招く可能性あるが、脳障害作用はないので問題なし。
    
    拮抗薬 フルマゼニル(アネキセート)(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を使用する。
ジアゼパム(ジアゼパム)(精神安定剤)
    静脈内投与時、他の薬剤と混合すると混濁する。
    猫では逆利作用のため興奮することがある。
    食欲増進剤としての作用→抗不安作用がもたらす中枢神経作用が利用される。
    遮光保存を厳密に守る必要がある。海外では急性肝不全の事例報告がある。
 
ブトルファノール(スタドール)(モルフィナン系鎮痛剤)
    準麻薬扱いのオピオイド、作用時間が2時間程度しか続かないことが欠点。
    投与直後は呼吸抑制と低血圧と心拍低下が認められる。
    鎮咳作用、鎮静作用が強いので興奮した心不全時の犬で有用。
    個体差が、非常に大きい。
    頭蓋疾患時には注意が必要(過換気状態を招き酸塩基不均衡がおこる可能性がある。)
 
アセプロマジン(フェノチアジン鎮静剤)
    鎮静作用が強く、猫、犬とも使用に便利で多用される。
    抗ヒスタミン作用、血小板抑制作用→出血傾向を強める。
    抗不整脈作用を有する利点がある。
    用量依存性に血圧低下の欠点がある。
    猫では、逆利作用で興奮する場合もまれにある。
    一般的に、痙攣発作時に発作閾値を下げるので禁忌と言われているが、確たる証拠はない。
    クロストリディウム感染による、破傷風型毒素の痙攣発作時に、使用することが推奨されている。
 
クロルプロマジン(ウインタミン)(精神神経用剤)
    日本で入手可能なフェノチアジン系の鎮静剤ではあるが、アセプロマジンよりも低血圧を起こしやすくメリットはない。
 
ハロペリドール(ブチロフェノン系抗精神病剤)
    作用はアセプロマジンと同等かそれ以下で、遮光保存ではあるが遮光瓶になっておらず、また価格が高額でメリットはない。
 
 
U 麻酔
 
ケタミン(ケタラール)(解離性全身麻酔剤)  喘息猫には使用可能。気管支拡張作用がある。
    癲癇等の神経症状を有する場合は血圧亢進のため悪化→使用不可。
    心筋症の場合心拍数増加により肺水腫を招く可能性ある。220拍/分。
    ケタミンの作用は、不可逆的であるので心疾患を持つ動物では使用すべきではない。
    猫では腎臓に無変化で排泄。犬では肝臓で代謝。
    ケタミンの微量点滴麻酔 0.1r/s iv(静脈注射)負荷後 0.1mg/kg/hrが安全だが、確実な不動化は無理である。(疼痛管理に有効)
    鎮痛作用が強いが、麻酔効果より不動化効果の方が強い。
    解離性麻酔、人では網様体賦活系の抑制であり、音などの五官の抑制のみで意識はあるとの報告がある。
 
ペントバルビタールネンブタール、ラボナ)(催眠・鎮痛・麻酔剤) 
    静脈内投与のみ。漏出は皮下壊死を招く可能性あり。
    短時間作用型バルビツール。    呼吸抑制が強い。低血圧、脳保護作用。
    容量に個体差が大きく、計算量での急速投与は心停止を招く。
    ブドウ糖効果があり、ブドウ糖との併用は麻酔時間の延長を招く。
    肝臓での代謝依存あり、肝疾患時は慎重投与。
    追加投与により、作用時間の延長。
    覚醒時、悪性高熱の可能性。
    アミノグリコシド系抗生物質で腹腔内洗浄などをした場合、呼吸停止を招くことがある。
 
チアミラール(イソゾール)(全身麻酔・超短時間作用型バルビツール系麻酔剤)
    呼吸抑制作用、心抑制作用あり。急速投与は不可。
    追加投与により、作用時間の延長。    筋肉内投与は、不可 →筋肉壊死。
グレイハウンド犬などの脂肪組織の少ない、犬種では再分布が少ないので麻酔の延長がみられるために使用しないほうが良い。
 
プロポフォール(ディプリバン)(全身麻酔剤)
    猫での使用は承認されてはいないが、基本的には問題はない→ハインツ小体の出現の報告あり。
    呼吸抑制が強いので、人工換気などの補助手段の用意をする。
    1分以上かけて投与すれば呼吸停止の可能性は減少する。
    投与後血中濃度によって麻酔効果がみられ、肝臓以外でも代謝されるため肝疾患時においても使用できる。
    脂肪が少ないグレイハウンド犬などでは覚醒が延長する。
    血中濃度が下がればすぐ覚醒する。1回の投与で約9分の持続効果がある。追加投与した場合は20分程度の麻酔延長が見られる。
    点滴後、体から完全に消失するのには犬では約5時間、反復投与で3〜5時間かかる。     
    尿に猫では脂肪顆粒がみとめられることがあるが問題はない。
 
プロポフォール+チアミラール
    犬では、プロポフォールの量を1/2〜1/4に相対的に減らすことができる。
    プロポフォール単独の投与時より不動化が容易である。
    猫での使用は許可されていない。
    混合溶液は、1週間以内に使用し、残量は廃棄しなければチアミラールの酸性作用により変性してしまう。
 
サクシニルコリン
スキサミトニウム(サクシン)(脱分極性筋弛緩剤)
ガラミン   (競合的拮抗非脱分極筋弛緩剤)
    骨折などの手術時に、筋肉の緊張をとるために使用されるが、同時に呼吸抑制も強い。
    ガラミンは心臓の筋肉も抑制する。
 
V 局所麻酔
 局所に作用して神経の刺激伝導を可逆的に遮断する薬物で、表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔等に使用される。
 効果は細い神経繊維から現れ、交感神経、感覚神経、運動神経の順となる。感覚神経の中では、痛覚、冷温覚、触覚、深部覚の順に麻酔される。
 局所麻酔薬には血管収縮作用がないため、エピネフリン(10〜20万倍)などの血管収縮薬を併用して吸収を遅らせ作用時間を延長させることがある。
 
 
2%リドカイン(キシロカイン)(アニリド系局所麻酔剤・不整脈治療剤)(アミド型)
    猫では禁忌と言われているが、用量を上げなければ問題はない。
    抗不整脈剤としても、使用可能(心室性期外収縮、心房性期外収縮)。
    心機能の興奮を薬物的に抑えることが目的→心拍数の低下。
    喉頭痙攣を抑制する目的で、猫ではリドカインスプレーを気管内チュウブ挿管時に使用する。
    
 
プロカイン(プロカイン)(中時間作用型局所麻酔薬)(エステル型)
    麻酔作用はコカインに類似し、知覚神経組織を麻痺させ伝導機能消失させる。
    粘膜への浸透力は弱く、鼻、眼等の表面麻酔には不適。浸潤麻酔、伝達麻酔、硬膜外麻酔などに使用(濃度0.5%〜1%、作用時間50分)
 
ブピバカイン(マーカイン)(長時間作用性局所麻酔剤)(アミド型)
    局所麻酔として近年多用されるようになってきた。
    作用時間が長く、局所麻酔としては理想的。(0.125〜0.5%、作用時間200分)
 
オキシブプロカイン(ベノキシール)(局所麻酔剤)(エステル型)
    点眼麻酔剤として使用される。0.4%。
 
W ガス麻酔
 
ハロタン(ハロセン)(フローセン)(ハロゲン化吸入麻酔剤) 
    現在使用されることはない。
    2週間以内に再麻酔をした場合、高率に肝不全を起こすことが知られている。
    代謝産物による免疫性の肝障害となる。
 
メトキシフルレン
    現在使用されることはない。
    以前鳥の麻酔として注目されていたが、麻酔後の代謝産物にシュウ酸カルシュウム塩が生成され、腎不全を起こすことが知られてから使用されていない。
 
エンフルラン(エトレン)(ハロゲン化エーテル系吸入麻酔剤)
     現在は使用されることは少ない      麻酔導入に、時間を要し痙攣等の発作がおき易い。(癲癇発作を誘発するとの報告もある)
     麻酔維持に高濃度2.5%〜3.5%が必要であり不経済。
     覚醒は、すみやかであり安定している。
     心臓への影響はハロタンと同等である。
 
イソフルラン (イソフルラン)(ハロゲン化エーテル系吸入麻酔剤) 
     麻酔導入がエンフルランよりは速やかではあるが、麻酔臭が刺激となり、猫では、いやがって息を止めるために麻酔を吸わないことがあり、単独での導入は難しい。(心疾患時などにおいて、興奮が心拍数の上昇をまねくので、マスク単独での導入はかえって危険をまねくことになることもある。)
     心臓への影響はほとんどなく、安定し良好である。
     覚醒時に心拍数の低下を招くが、血圧の低下は認められない。
     ドブタミンの投与で心拍数はコントロール可能。
     脂肪への溶解が起こるので、肥満の動物では覚醒が遅くなる。
     あくまでも、鎮静作用のみであり、鎮痛作用はほとんどない。
     (イソフルレン単独では、不動化しているだけであり動物は痛みを感じているということを理解するべきである。)
    人では、手術中の会話から、痛みまでを全て覚えており 地獄的な経験であったとする報告が多数ある。
 
セボフルラン(セボフレン)(全身吸入麻酔剤)
     臭いがなく、麻酔への導入は単独でも速やかであり良好。
     セボフルラン単独では、鎮痛効果がほとんどないため、去勢手術であっても不可能。(確実に他の薬剤を使用して鎮痛、鎮静処置をしておこなう)
     覚醒は速やかであり、心血管系への影響も最低である。
     代謝産物が何らかの影響を及ぼす可能性を指摘されているが、現在までその副作用の報告はない。
     あくまでも、導入用と考えて使用することが望ましい。
     エキゾチックでは、単独での使用が可能であり安全性は高い。
     麻酔濃度が5%と不経済である。
     最近、流涎が亢進するとの報告があるがそのようなことは実際認められない。
 
デスフルラン
     セボフルラン以上のメリットはなく、専用電気的加熱タイプの気化器を必要とする。
     高価である。
     代謝産物が何らかの影響があると言われているが副作用の報告はない。
 
 
 
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 改訂、補足(2006年2月)
 
(改訂のポイント)
 
プロポフォール(蓄積作用がないとのこと)とケタミンの心臓への影響が問題となっていること。
   (安全というのは単なる神話にすぎなかったということ)
 
・鎮静剤の用量がいままでの1/10から 1/100へと変更されていること。
 
以上が特筆すべき点である。(投稿者談)
 
 
鎮静剤、麻酔剤容量
 
ミダゾラム(ドルミカム)
   0.2〜0.5mg/s iv(静脈注射)、im(筋肉注射)、sq(皮下注射)
   0.04〜0.1ml/s
 
アセプロマジン
   0.01〜0.02mg/s iv,im、sq
   0.001〜0.002ml/s (状態の悪い場合は可能なら避ける)
 
メデトミジン(ドミトール)
   1〜10μg/s iv,im、sq
   0.001〜0.01ml/s (状態の悪い場合は可能なら避ける)
 
・キシラジン(セラクタール)
   0.2〜0.5mg/s iv,im、sq
   0.01〜0.025ml/s  (状態の悪い場合は可能なら避ける)
   注意:α2-作動薬と抗コリン剤の併用を推奨する臨床医もいたが、心筋負荷の増大および不整脈を引き起こすことが報告されている。
   α2-作動薬は心血管系が問題のない動物だけに使用をすること
 
アトロピン(抗コリン剤)(副交感神経遮断剤)
   0.01〜0.02mg/s iv,im、sq (iv時に頻脈を誘発)
   0.02〜0.04ml/s
 
グリコピロレート(ロビナール)(抗コリン剤) 
   0.005〜0.01mg/s iv,im、sq
(効果発現まで3分を要することがある)
   0.025〜0.05ml/s
   注意: 抗コリン剤 (アトロピン、グリコピロレートなど)は、心臓疾患を持っている動物は、著しい心拍数上昇による心筋の酸素要求量と負荷増加には耐えられない場合があり心筋不全を起こさせてしまうことがある。したがって徐脈に関しては必要に応じて対応すること。
 
ケタミン 
   2mg/s IV効果発現までボーラス投与 または4〜6mg/s im
   0.04ml/s iv 0.08〜0.12ml/s im (ノモペイン使用時)
   ケタラール(100mg/ml)使用時は、濃度がノモペイン(50mg/ml)の2倍あるので半量で使用
   心疾患時には使用を控えるか使用しない
   カテコールアミンがすでに枯渇している場合には、低血圧につながり心血管系の抑制がおこる
   *注意:心疾患の猫では決して使用しないこと
   (ケタミンが心疾患時に安全というのは、神話に過ぎないと理解して対応すること)
 
プロポフォール
   1mg/s iv 効果発現までボーラス投与 
   0.1ml/s
   再分布が早く、蓄積作用もなく、肝臓以外でも代謝され、導入と覚醒が早いことは利点ではあるが心肺系への影響はチオペンタールと変わらない。
   投与濃度と速度が速すぎる場合は無呼吸と低血圧を起こすので、注意すること。
   心疾患時には使用を控えるか使用しない (ヒスタミンの遊離作用があるので注意すること)
 
プロポフォール関連の麻酔例
 (帝王切開手術)
   局所ブロックとして リドカイン2r/s 腹側正中線へ注入。
   新生児は麻酔代謝が低いために母体で急速に代謝する。
   短時間作用型麻酔であるプロポフォールを使用するかあるいはマスク導入が現在最も良く用いられている麻酔である。
   または可逆的な麻酔剤つまり麻薬を用いるべきである。
   犬の新生児の死亡率の上昇と関係している麻酔剤は、チオペンタール、ケタミン、メデトミジン、キシラジンなどがある。
   気道をきれいにする為に仔犬を振り下ろすことが行われてきたが、脳震盪から脳出血を起こす可能性があるので避けるべきである。
 
チオペンタール(ラボナール)(静脈注射全身麻酔剤・短時間作用型バルビツレート)
   チオペンタールは,静脈注射によって容易に即座に麻酔導入ができ、すべての動物種で使用可能である。
   副作用として、鎮痛作用が乏しく、静脈内注射後一時的な無呼吸を生じる。心血管系への抑制はプロポフォールと同等である。血管の周囲に漏れると刺激性がある。反復投与すると覚醒時間が極めて長くなる。
   水溶液の状態では不安定であり,一度溶解したら7-10日以内に使用しなければならない。
   2〜4mg/s(0.08〜0.16ml/s)iv 効果発現までボーラス投与。 
注)ボーラス(bolusまたはボーラスインジェクションbolus injection)=薬物の迅速な作用を期待して,静脈内に急速に薬物を使用すること。
   
心肺系の抑制は、プロポフォールと同等
 
プロポフォール+チオペンタール 1:1混合液 使用時
   鎮静後0.085ml/s iv効果発現までボーラス投与(17.5r/ml 溶液を1.5r/sで投与)
 
ブトルファノール
   0.2〜04mg/s iv,im、sq
   0.2〜0.4ml/s   (スタドール)
   0.04〜0.08ml/s (ベトルファール)
   短時間作用 (1〜2時間) 鎮痛作用はモルヒネより弱い。
  心拍数は低下するが、心筋の酸素要求量および消費が減るので一部の動物では望ましい反応と言える。
   上記薬剤を単独ではなく、組み合わせることで個々の薬用量を下げながら適切な麻酔用量を得ること。
 
   薬用量は一定のガイドラインであり個々の動物の状態をみては増量もしくは減量すること。
 
NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)による鎮痛は効果的であり生体にとって鎮痛は好ましいことではあるが、脱水している動物では肝機能、腎機能への影響が発現する可能性を考慮し術前、術後を通して適切な水和状態にしておくこと
 
●麻酔時の記録
   5分ごとに 心拍数、呼吸数、血圧(70mmHg以上)、sPO2(95以上)、は最低測定し記録する
 
●輸液
   輸液は、酢酸リンゲルを基本として投与するが低血糖時、低マグネシウム血漿時などは適時変更する (ビカーボン、ヴィ−ンなど)
   ただしバルビタール系の麻酔を使用する時はブドウ糖効果の発現に注意すること)
   (2週齢以下の場合は、乳酸は、低血糖時の代謝燃料として好ましいので乳酸化リンゲルを使用する)
   低用量のものに関しては、100倍希釈と10倍希釈液を作成しておいて、体重に合わせて使用するよう、ラベルしておくこと。
 
●血圧コントロール
   血圧のコントロールには
   犬 ドブタミン 生理食塩水500ml+1アンプル(100r/1アンプル) 1.5ml/s/時  
   猫 ノルエピネフリン 生理食塩水100ml+5アンプル (1r/1アンプル) 0.6ml/s/時
   (犬と同様なドーパミン受容体を、もっていない為、猫では ノルエピネフリンを使用すること)
 
 
【投稿者からのアドバイス】
 
薬剤の有効性、薬剤に対する知識、どのような方法で実施するか、合併症に対する動物へのモニタリングをどれほど実施できるか、そのすべてが、薬剤の安全性に関係している
 
「安全な麻酔剤などない 安全な麻酔法もない
ただ安全な麻酔医がいるだけである」
by ロバート.スミス
 
「麻酔とはコントロールされた毒である」
by ブラスマー
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
以上、麻酔薬の概要
 
 
  【麻酔の実際】
 
対象:犬
 
●おとなしい犬の場合
 
静脈カテーテルを留置後、
ミダゾラム+スタドール (iv)(混合せずに、連続的に投与←速すぎず遅すぎず)
続いてプロポフォール+チアミラール iv効果発現までボーラス投与
モニターの装着
気管チュウブの挿管+ブレイスエイドの装着
(投稿者補足:人工鼻で、気管チューブに装着することで気道を乾燥させないという利点がある。また麻酔器にも水滴が、入り込みにくくなる)
イソフルレン麻酔にて維持 (呼吸停止に注意、停止時→人工換気)
術中に痛みがあるようならば、スタドールもしくはミダゾラムの追加
(局所麻酔剤も考慮→マーカイン)
血圧低下時→ドブタミンの投与を開始
心拍数が60回/分以下で血圧が70mmHg以下に低下し、ドブタミンの投与への反応が鈍い時のみ→グリコピロレートの投与。  
グリコピロレート(ロビナール)(抗コリン剤)
 
心室性期外収縮など、不整脈がある場合→酸素濃度のチェックを怠らない→sPO2
換気不全なら→人工換気、もしくはポップアップを開ける→CO2のチェックを怠らない
それでも、期外収縮があるなら→2%リドカインの投与0.1mg/s→心拍数、血圧に留意
 
●咬みついてきて抑制できない犬の場合
 
ミダゾラム+ケタミン im もしくは アセプロマジン+ケタミン im
静脈カテーテルを留置して、気管チュウブの挿管→挿管がまだ無理なら、プロポフォールをivにて挿管
 
イソフルレン麻酔にて維持(上記のように維持)
 
 若い犬で興奮している犬の場合は、ミダゾラムの量を多くするか、アセプロマジンを使用→過剰興奮を避けるため、おとなしい犬の場合も同様
 
● 薬剤用量
改定用量を参照 
(2006年2月改定、上段の麻酔薬概要に記載)
 
 
イソフルレン
1.5%〜2.5% →1.5%で維持できるよう鎮痛する
酸素 100ml/s/分 低流量麻酔時30ml/s/分→CO2が安定しているなら、7ml/s/分→CO2のチェックを怠らない。
人工呼吸器→換気回数6〜15回程度 なるべく10mmHg以下で肺のふくらみをみながら20mmHgまで。
点滴  10〜20ml/s/hr  ソリューゲン(酢酸リンゲル)自動点滴にて投与。
希釈ドブタミン 0.75ml〜1.5ml/s/hr (5%ブドウ糖液500ml+ドブタミン100r1管)
遮光して保存→黒く変性しても効果はあるが遮光する。
心拍数は、60〜120/分に維持(速すぎず、遅すぎず→正常な時の心拍数になるべくあわせる→術前に心拍数を興奮させない状態でチェックしておく)
 
追記(投稿者)
 キシラジンについての別記載を載せておきます。この方法では、避妊などは当院ではしていません。
ちょっとした外来で深い鎮静が必要な検査の場合のみ使用しています。
またヨヒンビンは、当院では使用していませんアンチセダンで拮抗しています。
これはタフツ大学のやり方です。 (管理人注釈:アメリカ、マサチューセッツ州のタフツ大学獣医学校)
 
キシラジンスタドールの鎮静(詳細)
 
キシラジン(セラクタール)(α-2アドレナリン作動性鎮静剤) 
徐脈、房室ブロックなどがおきる→心臓疾患、高齢の動物では避ける。
12週齢以下の仔犬、仔猫では使用しない。
グルコースレベルを上げる→糖尿病では使用しない
スタドールとの組み合わせで、良い鎮静が得られる
グリコピロレート 0.05ml/s C
スタドール 0.2ml/s C 続いてキシラジン 0.025ml/s 
2〜3分で効果発現
徐脈や低血圧に注意←モニターをチェック
15〜20分 鎮静が持続し口腔内などの検査も容易。
30分程度で覚醒してくる。
ヨヒンビン 0.1r/sで拮抗できる←下痢、毛が逆立つ、ふたたび眠ってしまうことがあるので30分は観察して完全に覚醒してから帰すこと。
拮抗させずに覚醒させたほうが、穏やかに覚醒し良好。
( 低用量でまたオピオイドと併用すれば確実で強力な不動化が得られる)
 
 
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麻酔、薬剤に関する管理人補足
 
(1)交感神経作動薬(カテコラミンと称されます)
交感神経はαとβに分類されます。
・α作動薬−主に血管を収縮させ、血圧を上げます。  
・β作動薬−主に心筋の収縮を強めます。心不全時に使用します。
それぞれの代表的薬剤を示します。
 
α作動薬   −ノルアドレナリン (ノルエピネフリン)
α、β作動薬  −ドパミン
β作動薬   −ドブタミン
 
なお拮抗とは、逆の作用をすることです。拮抗薬を投与することによって作用薬の効果を減弱または消失させることができます。
例えば、α作動薬に対してα遮断剤を使用すると拮抗作用を起こします。
 
(2)麻酔の目的と、麻酔剤の低用量化の意味
麻酔は患者(動物)を麻酔剤で眠らせ、体が動かない状態(不動化)にすることです。
麻酔を深くすれば不動化には好都合です。
しかし、麻酔剤は用量が多いほど血圧低下と心肺機能低下の危険性も増加します。逆に、合併症を恐れて用量を単純に減らすと不動化や鎮痛が不十分になる可能性があります。
そのため、十分な不動化と鎮痛を図りながら、なおかつ全身麻酔剤を低減させることは、安全な麻酔のための重要なポイントとなります。
 
(3)術中覚醒。鎮静、鎮痛の重要性
患者は、一見十分に眠っているように見えても、痛みを感じていたり手術中のできごとを覚えていてあとで回想できることがあります。これを術中覚醒と言います。麻酔が浅く痛みが強い時に起こりやすいとされます。
 人では以下の報告があります。
「術中覚醒の発生頻度は、回想可能な患者を対象とすると、250〜500例に一件とされる。多量の筋弛緩薬と少量のガス麻酔を使う麻酔では、この文献の報告よりも多くの術中覚醒が発生する。全身麻酔による帝王切開では、約1%の女性に術中覚醒が発生し、 心臓手術では1%以上であるとの報告がある。重症多発外傷では、さらに数倍発生率が高くなる可能性がある。」
 
動物の術中覚醒を証明することは困難ですが、同様に発生していると考えられます。術中覚醒を経験した人は、不安や恐怖などの精神障害を受けます(外傷後ストレス症候群(PTSD)に類似しています)。特に動物は苦痛を言葉で表現できないので、肉体的だけではなく精神的にもストレスを与えない麻酔を心掛ける必要があります。術中覚醒があることは、手術中の不快感や恐怖などが記憶に残ることになり大変怖い状況です。
 
一般的に、不動化や血圧、脈拍などのバイタルサインだけで麻酔量を決めようとすると、全身麻酔が深くなる傾向があります。
そこで、全身麻酔剤を低減し、なおかつ、確実に鎮痛する目的で、鎮静剤や鎮痛剤の併用、あるいは、局所麻酔剤やブロック(区域)麻酔の併用が効果的です。
 
 
なお上記(3)術中覚醒と患者の体験談については以下論文記事をご参照下さい。
(リンク内 麻酔科医 森 隆比古の頁)
ESIA日本語版(EDUCATIONAL SYNOPSES IN ANESTHESIOLOGY and CRITICAL CARE MEDICINE)
The Online Journal of Anesthesiology Vol 3 No 6 June 1996(日本語版 Vol.2 No.6)(http://www.ne.jp/asahi/mori/takahiko/ESIA/ESjp9606.txt) 右あひるアイコンからもリンクします。
 
 
(4)鎮静剤、鎮痛剤
麻酔前に鎮静剤(睡眠剤)を併用することで麻酔をスムースに導入でき、かつ術中術後の麻酔使用量を低減できます。
 
鎮静剤(睡眠剤)、鎮痛剤は以下(代表的薬剤の一部)があります。詳細は本文参照。
 
・非麻薬性オピオイド−ブトルファノール
・麻薬性オピオイド− モルヒネ
・α2作動性鎮静剤−キシラジン、メデトミジン
・ベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤−ミダゾラム、ジアゼパム
・フェノチアジン系鎮静剤−アセプロマジン
・解離性麻酔剤−ケタミン
・非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs;non steroidal antiinflamatory drugs)−メロキシカム、ケトプロフェンなど
 
(5)局所麻酔、伝達麻酔、硬膜外麻酔
(A)局所麻酔
比較的狭い手術部位や皮膚表面への局所麻酔剤注射は、局所の鎮痛に有効です。
ただし麻酔剤は血中にも入るので、中毒量にならないように注意が必要です。
 
(B)神経伝達麻酔(神経ブロック)
神経の中枢側に局所麻酔剤を注射すると、その神経が分布している領域全体が麻酔されます。局所麻酔よりも少量の麻酔剤で効果を発揮します。
四肢(足、指)の知覚神経や神経節などで多用されます。
 
(C)硬膜外麻酔 (区域麻酔)
脊髄には末梢からの知覚神経が集まってきます(その神経の束を脊髄後根といいます)。脊髄を包む膜(硬膜)の外側に局所麻酔剤またはオピオイド(麻薬および麻薬類似物質)を投与して知覚神経(後根)を麻酔する方法が硬膜外麻酔です。
手術部位の知覚を感じる脊髄部位の硬膜外麻酔によって、手術の痛み刺激が脳に到達されず痛みを感じません。
また硬膜外麻酔剤は血液で薄められないため、他の投与法よりごく少量で鎮痛効果があらわれます。
鎮痛持続時間は麻薬性オピオイドでは18〜24時間にも及び、術後疼痛管理にも有用です。
なお硬膜外麻酔だけでは鎮痛が不十分の場合は、全身麻酔剤を適宜追加します。
 
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麻酔科医 森 隆比古の頁。術中覚醒と患者の体験談(ESIA日本語版)
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